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2022年05月31日 自社コンテンツ

【POCKET小説】〜僕たちの秘密基地は宝の山なのさ!〜【短編作品】

POCKET小説!第2弾!

こんにちはっ!!(*•̀ᴗ•́*)و
有限会社クリエイティブハウスポケット公式キャラクターのぽけっとちゃんですっ✨

みなさんお待ちかね!
今月も弊社のシナリオライターさんが
5月のカレンダーイラストを題材に短編小説を書いて下さいましたっ!

学校帰り秘密基地で過ごした少年達のお話です🦖
ぜひ読んでいって下さいねっ🎶

 


〜僕たちの秘密基地は宝の山なのさ!〜

 

子どもの頃に、不思議な体験をした。
それは俺がまだ小学生で、毎日毎日、飽きもせずに秘密基地で過ごしていたときの話だ。

「行ってきます!」
「ちょっとどこいくの!?宿題は!?」

玄関から、俺によく似たやんちゃな子供の声と妻の声が聞こえる。リビングで寝転んでいた俺は、ずりずりと上半身を器用に前進させ廊下に顔だけを出す。

「おうハヤト、今日も冒険か?」
「うん!父ちゃんがくれた秘密基地に行くんだ!」

俺の息子は目を輝かせながら元気よく返事をする。

「気をつけて行って来いよ!いつ敵が現れるか分からないぞ」
「敵って?」
「……恐竜とか? あ、俺はお前と同じ頃、宇宙人に__」
「宇宙人!?」

視線を感じて顔を上げると、妻がこわい顔をしながら俺を見下ろしていた。

「もう!そんな姿、ご近所さんにみられたらどうするの!」
「俺もう行かなきゃ!父ちゃん、帰ったらその話聞かせて!」
「ちょっと宿題は!?」
「おー、いってらっしゃい」

母親の怒りもなんのその、息子は嵐のようなスピードで玄関を出て行く。
小学生男児はあのくらいの元気があって然るべきだろう。

ハァ、と妻が大きなため息をつく。

「ほんと、大樹そっくり、あの子」
「俺に似て良い子だろ?」

俺のその発言に、妻が二度目のため息をつく。

「全く。なんというか、昔からわんぱくなんだから」

そう、昔からだ。
昔からわんぱくでやんちゃで、面白そうなことが大好きで。

「だって秘密基地なんて、子どもからしたらロマンしかないよ」

俺はそう言って目を瞑る。そうすればいつだって、あの秘密基地の光景が目に浮かんでくるのだ。

 

 

 

「宇宙人っていると思う?」

聡介は図鑑から顔を上げ、俺の反応を伺うようにじっと見つめる。
木に囲まれた秘密基地は涼しく、木がそよぐ音と川の流れる音しかしない。まだ2人しかいないからか、基地の中は俺のゲームの音と聡介の声だけが響いていた。
モンスターを倒すのに集中していた俺は、うーん、となんとなく浮かんだことを口にする。

「いるんじゃないか?見たことないけど」

俺がそう言うと、聡介は真剣な表情を浮かべたまま図鑑に視線を戻した。
パラパラと、今度は紙をめくる音が響いては消える。およそ30ページを確認し終えた聡介は、また顔を上げて言う。

「載ってないんだよね」
「何が?」
「宇宙人とかUFOって、図鑑に載ってないんだ。教科書にも。惑星とか、天体系のことは絶対載ってるのに」

聡介はどこか寂しそうな、残念そうな表情をしている。
確かに、科学の先生は授業でUFOの話はしなかったな。

ゲーム画面にWINの文字が出た俺は、顔を上げて聡介の牛乳瓶の底のように厚いメガネを見た。
そういえば、この秘密基地を作ろうと言い出したのは、俺が聡介から宇宙やUMAのことを聞いたのが始まりだった。そんなにたくさん未知の生物がいるなら、俺たちで探そう!と言って秘密探検団を組んだのだ。

それから俺の父さんがかつて使っていたらしい、山奥のツリーハウスに自分たちの宝物を持ち込んだ。俺はサメのぬいぐるみにマンガにゲーム、聡介はオレンジに光る望遠鏡に、学校でもらった星座早見表に天体図鑑。そしていつしかメンバーが増え、同じサッカークラブの健太と一つ下幼馴染の優斗が加わった。もちろん、2人のぶんの宝物も。

「でもこの探検団を作ったのは、未知の生物を探すのが目的だっただろ? 聡介が俺に宇宙人の話をしてくれたんじゃん。聡介はいると思ってるんだろ?」
「そうだけど……だって僕もまだ宇宙人見たことないし、図鑑に載ってないってことは、本当はいないんじゃないかなって……。それに探検団って言っても、最近探検してないよ」
「最後に探検したのいつだっけ?」
「ツチノコを探しに行ったのが最後だよ。見つからなかったけど」

俺は床に置かれたスケッチブックを手に取る。そうだ、最後に探検したのは3ヶ月前。火星人の調査をしたページをめくると、おっとりとした優斗が描いたツチノコの絵が現れる。出没する地域や時間帯に、自分たちで独自に生み出したツチノコの捕まえ方などの調査情報が書かれている。ツチノコなら簡単に見つかりそうだったのになぁ。結果は惨敗だった。

ゲーム機から音がする。見れば、さっきの敵を倒したことで新たな敵が出現していた。

「ちょっと待って、新しい敵来た!」

俺がゲームを再開したとき、秘密基地のはしごを誰かが軽快に登る音がする。
ひょっこりと顔を出したのは、サッカークラブの帰りの健太だった。後ろには優斗を連れている。

「よっ!」
「健太!サッカーは終わったの?」
「うん、今日は6回もシュート決めたぜ!おい大樹、なんで今日はサッカー来なかったんだよ?」
「だって今日自主練だろ? 監督いないなら教えてもらえねーじゃん」

健太はニヤリと笑う。

「大樹がそうやって遊んでるうちに、俺がどんどん上手くなっちゃうもんね!」
「バーカ、俺が健太に負けるわけないだろ!」

言い返す俺に、健太がなんだと!と騒ぐ。取っ組み合いが始まりそうになったとき、2人の振動で秘密基地が揺れた。
おっとりした優斗が、自分の足元に滑って来たスケッチブックを拾い上げる。

「僕が描いたやつだ」
「あ、ツチノコじゃん」

絵を眺める2人に、聡介が思い出したように同じ質問をする。

「健太と優斗は、宇宙人っていると思う?」
「えーっ!いるんじゃないか? 見たことないけど!」

俺と全く同じ回答をする健太に、聡介はため息をつく。が、すぐに優斗の方に体を向けた。俺と健太の意見も大事にしろよと言いたくなるが、聡介が優斗の意見を聞きたそうにしているのはわかっていた。聡介は前に、優斗は実は宇宙人なんじゃないか、なんてばかなことを言っていたからだ。

俺たちは、優斗の一挙手一投足を見守る。優斗の口から出た言葉は___

「いる」

だった。
その短い一言に、たった二文字に心がざわめく感覚。聡介も同じなのか、優斗に続けざまに質問する。

「宇宙人はいるの? なんで知ってるの?」
「………?」

ぽやん。という疑問符を浮かべた優斗は何も喋らない。優斗とよく一緒にいる健太は気付いたようだが、俺と聡介は気付かなかった。優斗は知っているんじゃなくて、ただ「宇宙人はいるのか?」という質問に対して、自分の意見を言っただけだったのだ。

だがそうとは知らない俺たちは、興奮気味に喋り始める。

「宇宙人がいるなら、僕会ってみたいなぁ」
「あ!じゃあ今度の秘密探検団は、宇宙人の調査にしようぜ!」

俺はとっくにゲームオーバーになっていたゲームと漫画の山を適当にどかし、基地の真ん中にスケッチブックを置く。一枚めくると、『宇宙人!!』と書き込んだ。

「宇宙人ってどうやって見つけるんだ?」
「僕前にテレビで、UFOを呼ぶ儀式をする人たちを見たことがあるんだ」

聡介はそう言うと、スケッチブックに空に向かって手を上げている人の絵を描き始める。

「なんだこれ? バンザイ?」
「うん、確かこうしてた」

絵をよく見ると、一列になってバンザイをする人たちは手を繋いでいる。

「これなら、今すぐに出来そうじゃないか?」
「やろうぜ!」

俺は絵を描いている途中の聡介の手を引き、秘密基地のベランダに出る。俺と聡介が並ぶと、聡介の横に健太と優斗も続けて並んだ。
そして4人で手を繋ぐと、

「せーのっ!!」

空に向かって精一杯手を上げる。辺りは夕陽が沈み出し、夜の輪郭が見え始めているところだ。
しかししばらく経ってみても、空に変化は現れない。

「……本当にこんなので来るのか?」

俺はいぶかしげに言う。これ、ただ天に向かって手を伸ばしてるだけじゃん。
俺が繋いだ手をぶらぶらと揺らすと、健太がひらめいたように言った。

「うーん。信じてないからかなぁ……そうだ、念を送ればいいんじゃない?」
「念を送るって?」
「こう、UFOに呼びかけるというか、来るって信じるんだよ!サッカーの試合だって、勝とうと思わなきゃ勝てないだろ?」

そう言いながら健太は手を強く握り、空に向かって叫ぶ。

「おーいUFOー!俺たちはここだぞー!!」
「なるほどな!おーい!姿を見せろ!」
「お、おーい!」

健太に続いて俺と優斗が空に向かって声を出す。おそらくその声は、空に輝き始めた星に届くほど大きい。
そうして叫び続けたとき、空にキラリと小さな光が__。

「あっ!UFOじゃないか!?」

俺はじっと目を凝らしてそれを見つめる。赤い光がチカチカと点滅していて、よく見ると細長い尾のような物が見えた。

「ヘリコプターじゃん、あれ」

おそらく間違いではないだろう。耳を澄ますと、ヘリコプター特有の羽根の音が聞こえる。
ガックリと肩を落とす健太に、変わらず空を見続ける優斗。

ずっと黙っている聡介を見ると、どこか緊張した顔をしていた。
俺は聡介の肩を揺らす。

「どうした?」
「なんか、怖くなってきちゃった……もしUFOに連れ去られたらどうしよう」

想像力の強い、聡介ならではの心配だ。聡介のひたいに冷や汗が滲んでいるのを見た俺は、一瞬だけ手を離して秘密基地に戻る。

「大樹?」

俺は再び聡介と手を繋ぐと、左手に自分で作った剣を構えた。

「もし宇宙人が悪いやつなら、俺がこらしめてやる!」

そう言って剣を振り回す俺に、聡介は安心したように笑い、「うん!」と頷いた。

俺たちがこうしている間にも、空はどんどんと暗くなり、秘密基地の光だけが辺りを照らしていく。いつまで経っても現れないUFOに、俺たちの腕は疲れてきていた。だんだん泣き言が多くなる。

「本当にいるのかよ……」
「聡介、何か他に方法ねーの?」
「えっ!? うーん、そうだなぁ」

聡介はしばらく考え込んだあと、あっと声を上げてランドセルに手を伸ばす。聡介はランドセルに付いた防犯ブザーを掴むと、丁寧に取り外した。

「鳴らすのか?」
「ううん。これ、ライトついてるでしょ? 光の速度は秒速29万キロ、つまり光は音より早く届くんだ。だから光で場所を知らせたほうがいいんじゃないかな」
「……おう!やってみるか!」

正直俺たち、今の説明はちんぷんかんぷんだった。
ただ聡介が言うならそうなのだろう、とそれぞれランドセルの防犯ブザーを取り出す。
それぞれ光の強さは違うが、みんな小さなライトがついている。

俺は剣の先にライトをぶら下げて空に掲げる。

「UFOよ!姿を現せー!!」

呪文のように唱える俺を見て、みんなも掲げた手にライトを握る。

暗い空に4本の光の筋が伸びたとき___

風が、ピタリと止んだ。

「えっ?」

ゾワリ 肌が粟立つ。風で揺れていた剣の先の防犯ブザーは動きを止め、川の流れる音もどこか遠くでなっている感覚。
突如訪れた、静寂。

「……なぁ、何かいる…?」
「わからない、けど……」

空はいまだ、暗闇のまま。

「……やっぱりUFOなんて」

健太がそう口にした瞬間、

「ん!!」

優斗のライトが強く点滅した先に___

「UFO!!!」

4人がはっきりと見た。丸いその物体はクルクルと回転し、俺たちの頭上に浮かんでいたのだ。
ところが一度のまばたき。俺たちがその姿を確認しようとした一度のまばたきで、その物体は消え去ってしまった。

「うわー!!消えた!!!」
「えーっ!!」

UFOを見た時間は2秒にも満たない。
でも俺たちは、4人の反応から確かにUFOを見たのだと確信した。空より少し明るい、円盤の物体。
俺たちは秘密基地の中に入り、興奮冷めやらぬうちにUFOの見た目、出現する方法、現れた時の情報をスケッチブックに殴り書きしていく。

無我夢中で描いていた俺たちだったが、聡介がはたとペンを止める。

「ねえ、どうして、優斗のライトは光ったの?」

俺と健太もその言葉に動きを止めた。
3人の視線の先の優斗は、何も知らなさそうに首を傾げている。

「まさか、優斗って宇宙人なんじゃ……」

ゴクリと唾を飲む聡介の肩を、健太が呆れたように小突いた。

「そんなわけないじゃん」
「そっ、そうだよね。ごめん優斗」

優斗はまた何も知らなさそうに首を振った後、星座早見表を手にして俺たちに向ける。
小さな指でトントン、と叩いた場所は、北極星と北斗七星の間だった。

「この位置にUFOがいたってこと?」

聡介の言葉に優斗が頷く。

「じゃあ空でこの二つを探せば、また宇宙人に会えるんじゃないか?」

俺がそう言うと健太と優斗が頷き、聡介は楽しそうに星の位置をスケッチブックに記録した。

「でもUFOは見たけど、宇宙人は見てないよね」

聡介は笑いながら、しかし最初とは違う確信めいた瞳で俺に問いかける。

「宇宙人っていると思う?」

俺は自信ありげに歯を見せて笑った。

「いるに決まってるだろ!」

 

 

 

 

あの秘密基地には、冒険が詰まっている。
UFOに宇宙人、ツチノコにサメ、大好きな天体図鑑にゲーム、土で汚れたサッカーボール。
体を撫でる心地の良い風と、子供が運動した後の柔らかな汗の匂いと体温___

「父ちゃん!朝の話聞かせて!」

あの時の俺と同じようにキラキラした瞳が、こちらを見つめていた。
どうやら長い間眠ってしまっていたらしい。いつの間にか帰ってきていたハヤトはシャツを汗で染め、俺の体にまたがっている。ハヤトを降ろすように体をひねれば、俺もうっすらと汗をかいていることに気がついた。

「汗びしょびしょだな。まず父ちゃんと風呂入るか?」
「えー!やだ!俺風呂きらい!」

駄々をこねる息子の後ろで、妻が「上手くやって」という顔をしている。早くハヤトの服を洗濯してしまいたいのだろう。秘密基地で多くの冒険をした俺にとって、子供1人を動かすのは朝飯前だ。

「父ちゃんが偉大なるハヤト船長に、冒険の続きを聞かせて差し上げましょうか?」
「え!!聞きたい!」
「では船長、風呂場まで面舵いっぱーい!!」
「おー!!」

ハヤトは拳を掲げ、服を脱ぎながら脱衣所に駆けていく。
これからハヤトもあの秘密基地で多くの冒険をするのだろう。子供だからこそ価値のわかる、多くの宝物に囲まれて。

俺は小さな船長の後ろ姿にあの頃の自分を重ね、歯を見せて笑った。

 


あとがき

いかがでしたかっ?親から子へ…あの秘密基地は引き継がれたんだっ!!

ってなんだかとってもエモい気持ちになっちゃいました✨

大樹くんは立派なお父さんになったみたいだけど

聡介や健太、優斗は今は何をしてるんだろうなって想像しちゃいますねっ💓

ではでは、まったね〜!!٩(*´◒`*)۶

来月も小説を楽しみにしてるぽけっとちゃんでしたっ。

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