1月
今年もいいこと起こるかな?
響く太鼓の音に、新しい年を祝う嬉しそうな声。
楽しい、ワクワクする音が近づいて来る。
「あけましておめでとう!」
僕は重いまぶたをぐっと開いた。
目の前にはカラフルで立派な建物。後ろには大きな富士山…
「富士山??」
びっくりして周りを見渡すと、大きな達磨落としに空飛ぶコマ。
床にはカルタが敷き詰められている。
「ここはどこ…?」
「おうおう!少年、遊んどるか?」
「おもちゃもいっぱいあるわよ!」
どこからか聞こえる、男の人と女の人の声。
「…だれ?どこにいるの?」
「ここだ!」
声がした方を見ると、金の達磨が僕に向かってドン!と跳ねる。
「新年へようこそ!!」
「わー!だるまが喋った!」
達磨が跳ねるたび、ドンドンと太鼓の音が鳴る。
新年へようこそってどういう意味だろう?
この達磨たちなら何か知ってるかも。
「ねぇ、ここはどこ?」
「それはなあ…」
ドドドドド…
「え?」
突然あたりが大きく揺れ始め、地面のカルタがカタカタと浮く。
「何!?どうしたの!?」
「おうおう!主役のお通りだ!」
たくさんの何かが、大きな音を立ててこっちに向かってくる。ごくり、僕は息をのんだ。
その先頭に見えたものは__
『ドドドドド!!』
長くて真っ白な…
『ピョン!!』
__耳?
「オメデトウ!新年オメデトウ!」
真っ白でモフモフなうさぎが、僕の周りを飛び跳ねていく!
「わー!!うさぎだー!!」
「オメデトウ!新年オメデトウ!」
そう鳴きながらカルタを散らして走るうさぎたち。
僕は楽しくなって、うさぎと一緒に大きなジャンプで鳥居をくぐった。
「「今年もいいこと起きますよーに!」」
地面に足がついた、その時__
「ハッ!」
目が覚める。そこは、見慣れた部屋の天井…
ベッドから起きあがろうとしたとき、僕の手から何かが落ちた。
「これって…!」
それは夢の中で、僕やうさぎたちが蹴散らしていたカルタだった。
僕は家の階段をドタドタと駆け下りる。
このフシギな体験を誰かに話したくてたまらなかった!
「お母さん!聞いて聞いて!」
今年もいいこと起こるかな?