6月
雨の日に出会ったフシギなお友達
その子に出会ったのは雨の日の公園。
毎日雨ばっかりで、ぼくはお友だちと全然遊べない。
「あーつまんない!」
でも、雨の日にだけぼくは恐竜になれるんだ!
ギザギザの角とかっこいいしっぽを見せながら、ぼくは公園の中をどんどん進んで行く。
この装備はぼくのお気に入り!
ぱしゃ、ぱしゃ。ズン!ズン!
恐竜になりきって歩いていると、ぼくの前に大きな水たまりがあらわれた。
「がおー!ぼくは強いんだ!水たまりなんて、へっちゃらだもん!」
そう言っておもいっきりジャンプしようとしたとき、水たまりの中に大きな石を見つけた。
何だか気になってジーッと見つめると…
『ピクリ』
石が動いたような気がした。
もしかしてこの石、ぼくの大好きな恐竜のお鼻かも___
石に手を伸ばした、その時。
ぼくの傘から大きな雨粒が落ちた。
『ピチョン』
その瞬間、水たまりの中にぼくにそっくりなその子があらわれた。
水の中でふわふわと浮くその子は、とってもやさしい、まあるいお目目でぼくを見つめている。
「きょうりゅう…さん……?」
ぼくはそっとその子のお鼻にさわる。
その子のお鼻は雨の中でもちょっぴりあったかかった。
ぼくの胸がドキドキと鳴る。
「ねぇ、君はだぁれ?」
その子はにっこりと笑って、ぼくの手にお鼻をぐりぐりと押しつけてきた。
ぼくの頭の中に声が聞こえる。
『おともだち』
「……ぼくのおともだち?」
その子は嬉しそうにうなずいて、『おともだち!』と何度もくり返す。
ぼくも嬉しくなって、小さくくり返した。
「ぼくの、おともだち」
これが、ぼくたちの不思議な出会い。