7月
大好きな人と一緒にいられる日

私たちの運命は、永遠に変わらない。
何百年、何千年という時が経った今
きっと、これからも
記憶の中で微笑む、大好きな人。

私は今日も、一年に一度しか会えない恋人のことを考えていた。

「仕事、頑張りすぎてないかな」
「あなたは優しい人だから、どこかで嫌な思いをしてないかな」
「新しい髪型、かわいいって言ってくれるかな」
「私のこと、想ってくれているかな」

しかし、どれだけ願っても、会えるのは七夕の日だけ。

この一年、何度もあなたとの思い出をなぞって、心にぽっかりと開いた穴に蓋をした。

それでも、会えない時間が重なるほど、その穴はどんどん大きくなって……

「はやく、会いたい―」

寂しさに、飲み込まれてしまいそう―

短冊に書き連ねる私の願い。

その願いが、絶えることなく星の中を舞っていく。

一年に一度、星の川が私たちを繋ぐ日。
私の願いは、ただ一つ。
『ずっと一緒にいたいな』
―星が巡る頃。
今日も俺は、恋人のことを考えていた。

「君に会いたい。俺の願いは、ただ、それだけ」

「君はこの一年、どう過ごしていたのかな」
「風邪は引いてないかな。髪は伸びたかな」
「何かつらいことはなかったかな」
「俺のこと、想ってくれているかな」

しかし、どれだけ願っても、会えるのは七夕の日だけ。

会えない時間があまりにも長すぎて……どんどん君の存在だけが膨らんでいく。

俺を呼ぶ声も柔らかい手の感触も、しだいに薄れていくのに。

それが不安で不安で、たまらない―

「……どんな星より、美しく輝くのは……いつだって君なんだ」

何度も何度も、短冊に書き連ねる俺の願い。

一年に一度、星の川が俺たちを繋ぐ日。君も、同じ事を考えているのかな。

『ずっとそばにいてほしい』

頭の中はずっと君の事ばかり。
もう会えないのかな、そんな気持ちが頭をよぎる事もあった。
気の遠くなるような時を重ねた。
そして……
願いはいつしか星となり、それは天に大きな川を架けていた。

天の川―その川の上で二人は手を取り合う。

「やっと会えた……っ!」

「元気だった?風邪は引いてない?髪もこんなに……いやそれより、」

何よりも一番伝えたかった事。

「ふふっ……大好き!」

「俺も、大好きだ!」

このまま、時間が止まってしまえばいい。

そうすればずっと―

ずっと、君と一緒にいられるのに。