【POCKET小説】〜いつまでも変わらない君と僕の関係〜【短編作品】
POCKET小説!第1弾!
こんにちはっ!!(*•̀ᴗ•́*)و
有限会社クリエイティブハウスポケット公式キャラクターのぽけっとちゃんですっ✨
今日はなんと弊社のシナリオライターの方が
4月のカレンダーイラストを題材に短編小説を書いて下さいましたっ!
幼なじみの男女の初恋を描いた甘酸っぱ〜いお話💓
ぜひ読んでいって下さいねっ🎶
〜いつまでも変わらない君と僕の関係〜 【颯真編】
4月1日。街ゆく人が真新しいスーツに身を包み、胸を躍らせながら満開の桜の下を歩いている。
今日僕は、幼なじみの千陽(ちはる)と同じ企業に就職する。
千陽とは小学生の頃から一緒だった。下校時間には早く遊びたいからって僕の手を強く引いて、必ずこう言っていた。
「ほら、早く行くよっ」
会社の入社式に向かう今日も、千陽は僕の手を握りながらそう言う。こうして楽しそうに僕に笑いかけることも、毎年こうして一緒に春を迎えていることもそうだ。千陽と僕の関係はいつまでも変わらない。
そう思っていたのに、千陽に握られた手が、どうしてこんなに熱いのだろう。
「まさか、就職先まで一緒だとは思わなかったな~」
少しおどけたように笑う千陽に胸が締めつけられて、僕は一瞬言葉につまる。
「……お互い、希望する職種が同じ会社にあったから」
「…そんなこと言って、ほんとは一緒に通いたかったくせに~」
その言葉にドキリとした。
志望する就職先が同じだったのはたまたまだ。でもどこかで漠然と、千陽と一緒に通勤する自分を想像していたから。
いつだって千陽にどきどきさせられっぱなしなのが悔しくて、
「でも千陽だって、俺が昔あげた髪飾りずっとつけてるじゃん。そっちこそ、俺と一緒で嬉しいくせに~」
と、僕も同じようにおどけた調子で口にする。前から気になっていたんだ。ずっと大事にしているのは、もしかしたら僕があげたからなんじゃないか。なんて、淡い期待を抱きながら。
なかなか返ってこない返事に、変なことを言ったかもしれないと焦って顔を上げたとき、
「…なんでかわかんないけど!家にこれしかなかったの!」
そう顔を背ける千陽の耳が、僕があげた真っ赤な髪飾りと同じ色をしていて。
__期待しても、いいのだろうか。
千陽の手が昔より小さく感じることも、僕の方がいつの間にか背が高くなったことも、桜が千陽に向かって舞っているように感じ始めたことも、全部気付いていた。
「これからも、大事にしてよ。それ」
僕の言葉に千陽はますます耳を赤くしながら、ぎゅっと繋いだ手に力を込める。
いつまでも変わらないこの関係を、この春、僕が変えるから。
〜いつまでも変わらない君と僕の関係〜 【千陽編】
4月1日。ビルと桜に囲まれたこの街の会社に、私と幼なじみの颯真(そうま)は就職する。
入社式に向かう私は、通り過ぎるビルの窓に自分の姿が映るたび、赤い髪飾りを目で追っていた。
昔から付けている髪飾りだけれど、いつだって可愛く結べているか心配だったから。
「千陽、窓見すぎ」
その声にハッとして顔を上げると、
「おはよう」
背の高い颯真が私の横に立っていた。
「あっ、おはよう!」
颯真のスーツ姿が珍しくて、ついまじまじと見つめてしまう。颯真の長身にスーツはよく映えていて、いつもより格好良く見えた。
「どうした?」
私がしばらく黙っているのが心配になったのか、颯真が私の顔を覗き込む。私は見惚れていたのがバレてしまいそうで、急いで颯真の手を取って歩き出した。自然に、昔と何も変わらない動作で、と心の中で呟きながら。
「ほら、早く行くよっ」
いつの間にか大きくなった颯真の手を握って、こうして昔から手を引いていたことを思い出す。最初は仲のいい幼なじみだった颯真に、特別な感情を抱いた日のことも。
小学生の頃。私は同級生の男の子と一緒に、ドッジボールや鬼ごっこをして遊ぶ活発な子供だった。
そのせいか女の子にはあまり好かれていなくて、ある日「千陽ちゃんって男の子みたい」と同じクラスの子に笑われたのだ。気が強かった私だけれど、子供ながらに言い返してはだめだと思ってグッと我慢したのを覚えている。
だって教室の隅で、颯真が私の方を見て小さく首を振っていたから。
その日もいつものように颯真と二人で帰った。でも私はどこかに遊びに行く気分になれなくて、颯真の後ろをとぼとぼと歩いていた。
すると突然颯真が、「僕、服屋さん行ってくる!ちょっと待ってて!」と私を置いて、少し先の【ブティックミツバ】という服屋さんにかけ出したのだ。
なんで急に? 私はそう思いながらも、ゆっくりと歩いてその服屋さんに向かう。そこは地元の中学生や高校生のお姉さんたちが楽しげにお買い物をしているお店だ。
服屋さんに着くと、ちょうど颯真がお店のおばさんから何かを受け取っているところだった。おばさんにおじぎをした颯真はお店の外に出て、「あげる」ときれいな赤いリボンの髪飾りを私に手渡した。
びっくりした私は、颯真の顔を見つめながら言う。
「私にくれるの?なんで? 私知ってるよ、ここ、私たちより年上のお姉さんたちが行くところでしょ。これ、きっと高いんでしょ?」
その服屋さんのアクセサリーは、小学生が買うには少し高いものだ。
「ごほうび! だって今日千陽ちゃん、けんかするの我慢したじゃん。女の子たちに嫌なこと言われても言い返さなかったでしょ? それに僕、千陽ちゃんが可愛いもの好きなこと知ってるよ」
「でも……もらって良いの? 颯真、しばらくお菓子買えなくなっちゃうよ」
私がそう言うと颯真は、「でもこれつけたら、千陽ちゃんもっと可愛くなるよ。千陽ちゃん、ちゃんと女の子だもん」と優しく笑って、私に「一緒に帰ろう」と手を差し伸べた。
そんなことを言われたのは初めてで、嬉しかったのを覚えている。
昔と比べて男の子らしくなった颯真の手にチラリと視線を移す。
あの日からもっとこの手に触れたくなって、もっと繋ぐのに勇気がいるようになって、もっと離したくなくなった。
それなのに、颯真は私の気持ちなんて全く気づいていない様子で笑いかけてくるから。私ばっかりドキドキしているのが悔しいから、私はこうして颯真の手をずっと引っ張っているんだ。
「まさか、就職先まで一緒だとは思わなかったな~」
お願いだから私の言葉に、私と繋ぐ手にドキドキしてよ。私に振り回されてよ。
「……お互い、希望する職種が同じ会社にあったから」
お願いだから、いい加減、私の気持ちに気付いてよ。
「…そんなこと言って、ほんとは一緒に通いたかったくせに~」
こうやって茶化して、颯真の気持ちを探ることも勇気がいる。だんだん空回りしている自分が嫌になってきたとき、
「でも千陽だって、俺が昔あげた髪飾りずっとつけてるじゃん。そっちこそ、俺と一緒で嬉しいくせに~」
颯真が私の髪飾りに気付いていることを知っちゃったら……そんなの、すっごく嬉しいに決まってるじゃん!
「…なんでかわかんないけど!家にこれしかなかったの!」
自分の顔が赤くなっているのがわかってしまって、颯真から顔を背ける。気づいてくれてたんだ。だってこの髪飾りは__
「これからも、大事にしてよ。それ」
だってこの髪飾りは、私の好きが伝わって欲しくて、ずっと付けてるんだから。
あとがき
いかがでしたかっ?幼なじみの関係から踏み出せない2人!!
ぽけっとちゃんはすっごくキュンキュンしちゃいましたっ!
イラストに描かれた女の子の髪飾りや2人の身長差…エモいですっ💓
他のイラストも小説化してほしいなぁ〜!!
ではでは、まったね〜!!٩(*´◒`*)۶
かわいい見た目が欲しいぽけっとちゃんでしたっ。